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2006年11月17日の佐賀新聞 有明抄に掲載されました。

紅葉の名所「九年庵」(神埼市)が一般公開された。
佐賀もこれから日ごとに”秋”が深くなっていく。
「九年庵」もいいが、唐津市厳木町、作礼山の中腹にある「風遊山荘」もいい。
ここには物語がある。

季節の移ろいと共に深まる紅葉

◆標高五百メートル。
山の斜面二十ヘクタールに広がる色とりどりの広葉樹林。四半世紀かけてこの場所を「自然環境芸術の森」として大切に育ててきたのは鶴田正明さん(七一)。
肥前町の生まれ。
裸一貫、造園業で成功。
各種コンクールで手にした栄誉は数知れず。
まさに”わが世の春”を謳歌するような絶頂の時、「四〇度を超す熱が一年半続いた」という原因不明の病で愛する二男を失った。

◆突然襲った不幸。
この逆縁の悲しみが、その後の鶴田さんの生き方を変えた。
「俺は今まで山からどれだけ木を掘り出したろうか。これからは木を山に戻してやろう。俺にできるのはそれしかない。植樹は瀕死の地球を救う。これが俺の詫び状だ」と、一切を譲ってこの地に。
二十七年前のことである。

◆はびこる竹を抜き、モミジやカエデを一本一本山に返した。
鶴田さんの思いに心打たれた地域の人たちも植樹に協力した。
今では一万本を越す。
二十余年歳月は荒れた山を見事な紅葉の庭園に変えた。
こぼれる深紅。
程よく配置された自然石や池。
風情漂う山荘は、朽ちていた遊郭の廃材を利用したものだ。

◆初めてここを訪ねたのは七年前。
その時は「まだ公開はできない。どうせなら石にコケがついてから」と言っていた鶴田さんだが、ようやく納得できる「環境芸術の森」になったと言う。

◆こんな物語を背景にすると、ここは紅葉を楽しむだけでなく、つらい思いをしている人たちが自分と向き合える場所でもある。  (賢)

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